東京での暮らし④
スポーツマッサージ治療院には、いろんな方がお越しになった。
私はマッサージや鍼灸治療している方を見学させていただき、1日に1度は先輩の体をお借りして足の裏をマッサージする練習をさせてもらった。
掃除したり洗濯したりしながら、聞き耳を立てたり横目でチラチラ見たりして、耳から目からとても勉強になる日々を過ごした。
先生方や患者さん方にたくさんかわいがっていただいた。
何がそう思わせたのかわからないが、ここは私の居場所ではないように感じた。
ある日、とんでもなく逃げ出したくなり、気がついたら電車に乗っていた。
なぜか浜松駅に降りた。
駅でご飯を食べた。
そして時刻表で調べた。
ゆっくりと家に帰った。
トレーナーになりたい夢を持って東京に出たはずなのに逃げ出してしまった自分がたまらなく嫌だった、情けなかった。
両親はニコニコと迎えてくれた。
いつまでたっても突然帰って来た理由を聞かない。どうして何も聞かないのか?尋ねてみた。
「我が家に帰って来るのに何か理由がいるのかな?どんな時でも胸を張って帰って来なさい。」っと。
肩の力が抜けた。
一週間ぼーっと、した。
そして、また東京に出発した。
つづく
有理はりきゅう室ホームページhttp://www.yuriharikyu.com/